線路は続くよ
数年前、友人のエッセイが朝日新聞の「天声人語」に取り上げられたことがありました。
内容は各駅停車に乗り、宇都宮に餃子を食べに行く車中でする読書の愉しみについてでした。
それを読んで以来、私は宇都宮へ憧れを持ち、ついに先週その夢を叶え餃子を食べてきました。
宇都宮へ行くもう一つの目的は一年前に出来た路面電車のライトレールに乗ることでした。
駅前 ➡ 市街地 ➡ 田畑 ➡ 住宅地 ➡ 工業団地(職場)
と結んでいるライトレールは新しい街づくりの中核を担っているな、と感じました。
最終地点の工業団地にたどり着いたところで某自動車メーカーの巨大な研究所が目に入りました。
その瞬間、ある記憶が甦ってきました。
22年ほど前、ある大学生がその自動車メーカーに就職が決まったと報告にきてくれました。
その時「宇都宮の研究所に行かないといけないので嫌なんですよ…。」
と言っていたことを思い出しました。
「ここかぁ…。」
当時のこの辺りはきっと何も無かっただろうし、都会育ちの彼の絶望はいかばかりだったかと思いを巡らせました。
それにしても、線路というものは人生の点を繋いでいくものなのだなぁ…としみじみ感じる鉄道小旅行でした。
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