第53回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
やっと仕事も落ち着いてきたので、昨年9月に買った本を読みました。
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平著 文藝春秋
まさかこんなに凄い野球ノンフィクションの金字塔が誕生していたとは…。驚愕です。
何を隠そう私は、当時の中日に人生をかけていました。
巨人、阪神、中日の三つ巴の争いの中、明らかに落合中日の闘い方は異質でした。
その裏側にあった落合と人生が交錯してしまった選手や関係者たちの心の襞を見事に描いた傑作です。
この濃密な内容が2,000円足らずで読めるとは、日本もまだまだデフレと言えるでしょう。
第3章の「福留 孝介」で取り上げられている巨人との試合の時に、私は東京ドームの外にいました。
仕事を終えて9:00頃東京ドームに着くと試合は延長に入りました。
もちろんチケットは無いので外のビアガーデンのテレビで試合を観ていました。
その瞬間、東京ドームが「ワッ」と唸りました。
テレビの画面に福留のセンター前ヒット。
試合の展開についてはぜひ本を読んでいただきたいのですが、
その時見た東京ドームの上にある都会独特の光に染まった夜空の色は生涯忘れられないと思います。
落合が中日から去ってから11年の年月が流れました。
また、この本を読んであの頃の気持ちを思い出せたことを幸せに思います。
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