最近読んだ小説ベスト
皆様こんにちは。税理士法人YMG林会計の大塚です。
前回のブログ担当者さんに続いて私も本の話題を書いてみようと思います。
今年読んだ小説の中でも特におもしろかった3作品をご紹介します。
上橋菜穂子『香君』上下巻
〈あらすじ〉
遥か昔、〈神郷〉から降臨した初代〈香君〉が携えてきたとされる
奇跡の稲〈オアレ稲〉の力によって、多くの国を従え、繁栄を誇って来たウマール帝国。
その属国〈西カンタル藩王国〉の藩王の孫、15歳の少女アイシャは人並外れた嗅覚を持ち
植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きていた。
祖父の失脚の後、彼女の運命は大きく変転していき、
やがて、ウマール帝国を庇護する美しい活神である当代〈香君〉の元で働くことになる。
神授の稲〈オアレ稲〉によって人々は豊かな暮らしを謳歌していたが、実はこの稲には恐ろしい性質があった。
害虫はつかぬはずのオアレ稲に、あるとき不思議な虫害が発生し、
この稲に過度に依存していた帝国は、凄まじい食糧危機に見舞われる。
アイシャは当代〈香君〉と共にオアレ稲の謎に挑み、人々を救おうとするのだが……。
このブログでも何度か書いておりますが、上橋菜穂子さんは私が一番敬愛する作家さんです。
その上橋さんの久しぶりの新作が出版!と聞いてすぐ本屋さんへ向かい読み耽りました。
本の装丁から華やかで、平積みされているだけで心がわくわく期待に高鳴りました。
そしてやっぱり上橋さんのお話は今作もおもしろい!すごい!嬉しい!
”異世界の植物の香りの声”を滑らかな文章で見事に表現していて感服しました…!
生きとし生ける万象の息遣いが聴こえてくる力強く美しいお話でとてもおすすめです。
一穂ミチ『スモールワールズ』
〈あらすじ〉
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。
「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。
初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。
向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。
誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
書店員さんや読書家さんがこぞって「この本はすごい」と評判だったので
手に取って読んでみたところ、とんでもない作家さんに出会ってしまいました。
誰しもが少し狂った歯車を他者とかみ合わせて生きている、日常の小さな歪み。
きっとどこかで起こっているんだろうなと思わせる現実感に引き込まれました。
たんたんと静かに物語が進むけれどひとつひとつ印象が強く、
読後詰めていた息を吐きだすような余韻を感じました。
劉慈欣『三体』5巻
〈あらすじ〉
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。
失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。
そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。
数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、
世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。
その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、
科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。
そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
SF好きとしては読まずにいられない!とずっとそわそわしていたのですが、漸く読みました。
これはもう…言葉で言い表せられないほど衝撃作で怪作で私の読書人生に大打撃を与えてきました…。
本国である中国では合計2,100万部、英訳版は100万部、
アジア圏で初めてヒューゴー賞長篇部門に輝いた、壮大でストレートな宇宙SF小説です。
行間がぎっしり詰まった重たい単行本5冊ですが寝る間も惜しんで没頭しました。
ほんとうにほんとうにすっっごくおもしろかったです。感想を語ると1日じゃすまないので
割愛しますが、SFがお好きな方はぜひぜひ読んでいただきたいです。
Netflixがドラマ化を企画しているそうなので、そちらもとても楽しみです。
またおもしろい本を読んだらブログに書きたいです。
長くなりましたがここまでありがとうございました!
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